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犬の殺処分について調べてみた

  • 執筆者の写真: Nami
    Nami
  • 3 日前
  • 読了時間: 5分

最近ちょっと気になっていたことを調べてみました。



アメリカでは昨年2024年、約580万頭の犬と猫がシェルターや保護施設に入り、そのうち約410万頭が譲渡されました。殺処分数は約60.7万頭(犬33.4万頭、猫27.3万頭)で、2019年に比べて20%減少しています。猫の譲渡は増加傾向にありますが、犬は減少が続いています。

詳細はこちら:👉 Shelter Animals Count 2024年統計ページ (Shelter Animals Countとは? アメリカとカナダにおける動物保護活動の透明性と効果を高めるために設立された、非営利の全国的なデータベース組織です。​SACのデータは、実際に参加団体から提出された情報に基づいており、推定値ではありません。​これにより、動物福祉団体や政策立案者が現実的で効果的な意思決定を行うための信頼できる基盤となっています。​SACは全米およびカナダのシェルターや保護団体から、動物の受け入れ(Intake)や処遇(Outcome)に関するデータを収集・分析しています。収集したデータを基に、地域ごとの課題を特定し、効果的な政策や資源配分の決定を支援しています。​Home - Shelter Animals Count )



こちら統計サイトのデータから昨年のワシントン州のデータをチェックしてみました。


平均譲渡数(Average Adoptions)

  • 犬(Dogs): 158頭

  • 猫(Cats): 309頭

平均地域受け入れ数(Average Community Intakes)

  • 犬(Dogs): 193頭

  • 猫(Cats): 317頭

報告している団体数(Number of Orgs Reporting)

  • 団体数(Number of Orgs Reporting): 260団体シェルター(Shelters): 65施設レスキュー(Rescues): 195団体

一人当たりのデータ(Per Capita Data)

  • 譲渡数(Adoptions): 12.0件

  • 地域受け入れ数(Community Intakes): 13.1件

  • 非生存結果(Non-Live Outcomes): 1.3件



    譲渡数(12.0件)は、ワシントン州の住民1,000人当たりで譲渡された犬と猫の数です。譲渡が比較的多いことは、地域社会の動物保護への意識の高さや、シェルターがうまく機能していることを示しています。



    地域受け入れ数(13.1件)は、住民1,000人当たりでシェルターやレスキューが受け入れた動物の数を表します。受け入れ数が譲渡数を上回っていることから、動物の過剰な供給があることが示唆され、地域における動物管理の改善が必要な可能性があります。



    非生存結果(1.3件)は、譲渡や返還されず、安楽死や死亡した動物の数を示します。この数が少ないことは、動物の福祉に対する意識が高く、殺処分が減少している可能性を示唆しています。


というわけで昨年度ワシントン州の犬猫の殺処分数は1.3件でした。 ワシントン州の人口推計によると、2024年4月1日時点での州の人口は約800万人弱です。この人口データを基に、1,000人あたりの動物譲渡数や殺処分数を全州規模で推計すると1,000人あたりの非生存結果(殺処分数)が1.3頭であれば、州全体では約1万頭の犬や猫が殺処分されたと推定されます。​全米で60.7万頭の殺処分が行われているということで考えると、確かに1万頭の殺処分はかなり少ない数ではある。

ワシントン州は「No-Kill(ノーキル)」の取り組みが進んでおり、多くのシェルターが殺処分ゼロまたは極めて低い率を達成しています。

  • たとえば、Seattle HumaneやPasado’s Safe Havenなどの団体は、「No-Kill シェルター」として救える命はすべて救うという方針で活動しています。

  • とはいえ、重度の病気や攻撃性が高く人や他の動物に危険を及ぼす場合は、最終手段として安楽死が選択されることもあります。

No-Killとは?

  • 通常、収容された動物の90%以上が新しい飼い主を見つけて命をつなぐことができているシェルターは「No-Kill」とみなされます。

  • ワシントン州にはこの基準を満たしているシェルターが複数あります。

RCW(Revised Code of Washington)

  • ワシントン州法では、動物の福祉を重視しており、不必要な殺処分を防ぐ義務が行政やシェルターに求められています。

  • 州法により、遺棄や虐待は犯罪であり、違反者には罰金や懲役刑が科されることがあります。

マイクロチップ登録の推奨

  • 犬の迷子や遺棄防止のために、マイクロチップの装着が強く推奨されており、多くの自治体で助成制度があります。


では、No-Kill制度の場合、他州からの引き取り等も含め増えすぎる犬の生活環境や資金はどのようになっているのでしょうか。

多くのNo-Killシェルターは、自分たちの収容能力(施設や人員、予算)を超えない範囲でしか引き取りません。他州の過密地域(例:カリフォルニア、テキサス、南部諸州)から引き取る場合は、事前にFoster(一時預かり)や譲渡先の見通しがあることを条件にしています。地域や団体同士でネットワークを構築し、収容のバランスを保ちながら助け合う形がとられています。No-Killシェルターは営利ではなく、非営利団体(NPO)やチャリティ団体が運営していることがほとんどのようで、主な収入源は個人や、企業からの寄付金、譲渡費用(うちのKonaは$500でした)チャリティイベントや物販、助成金(市・州・民間団体)となります。

寄付は多くがクラウドファンディングや継続支援(いわゆるサブスク)で募られ、SNSやメディアを通じて発信力があるシェルターほど支援が集まりやすい傾向があります。


 

次に日本の状況です。環境省が発表しているデータでざっくりと調べました。

引取り数:​19,352頭​

返還・譲渡数:​17,338頭​

殺処分数:​2,118頭​


驚くことに20年前の犬猫の合計殺処分数は約40万頭(犬156,000頭)に達していました。それがここ数年でついに一万頭以下(犬2000頭)となっています。残念ながら6,000頭台と、猫は多めですが。この背景には「動物愛護管理法」改正(2013年)や譲渡活動の工夫、避妊・去勢の大切さが広まってきたことなど、たくさんの人たちの取り組みがあるんだと思います。


私がアメリカの犬の殺処分について調べようと思ったきっかけは、最近自分のSNSにすごく多く保護犬についての投稿が流れてくるようになったからでした。まさかここまで殺処分が減っているとは思っていませんでした。更に日本の取り組みについても驚かされました。もちろんこれらの統計には決して載らない、人知れず虐待を受けていたり、殺される犬や猫もたくさんいるとは思いますが、今回調べてみて良かったことでした。

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